5/06/2009

たんぽぽ。

同じ出来事なのに、背景が異なるだけでどうしてもこんなに結果が変わるのだろうか。その違いを目のあたりにしてとまどった。たんぽぽの綿毛をふぅってした時みたいに、あの人のもとからあの人のもとにいければいいのになぁって思った。生命とはとても複雑なものだろう。そう思うと、私が生まれるまでにはどれほどの偶然と言う名の必然が起きていたのだろう。時々、父と喧嘩をする母。その時に決まって言う言葉。「あの時に出逢った、あの人と結婚すればよかったわ。」。「そうなっていたら、私はいないのね。」そう私はいつだってその言葉を聞くと母に、悲しいような怒ったような口調で言っていた気がする。

心の風邪をひいた人に言われた。
「アメリちゃん、生きるためには宗教が必要なんだよ。宗教が必要ということは神様が必要だということだよね。その神様はどこにいるのか知っているかい?君の神様は君自身なんだよ。つまりは自分を信じることが唯一の生きる術なんだよ。わかるかい。」

あるクリニックで働いていた時に初めて知った。世の中にはこんなにも生まれてこれない命があることを。
ある児童福祉施設にお手伝いに行っていた時に初めて知った。世の中にはこんなにも親と一緒にいられない子がいることを。

その事実は、私には信じられないことだった。ある程度大人になったら誰もが結婚して子供を産んで育てていくものであると思っていた。そう、勝手に思い込んでいた。世界全てが自分の家庭とイコールで結ばれていた。けれども、ある日そうではないことを知った。よく考えればわかるようなことをずっとわかっていなかった。

最後まで彼女に言えなかった。「貴方はそれでいいの?」
そして、今も言えない。言うことが必要なのかさえわからない。
わかっているのは彼女が深く傷つき、生きることに怯えて肩を震わしているということだけ。

「貴方はそれでいいの?」と聞けないばかりか、大丈夫よ、とも、頑張ろう、とも、言えなかった。何も言えなかった。

ふっと、春樹の言葉を思い出した。
「僕は別に立派な人間じゃない。他人に自慢出来るほどのものも持ち合わせていない。それに昔は今よりもっとがさつで、無神経で、傲慢だった。だからあるいは僕は君にふさわしい人間とはいえなかったかもしれない。でもね、これだけは言える。僕は君にうんざりしたりはしない。そういう点では僕は他の人間とは違うんだ。君に関して言えば、僕は本当に特別な人間なんだ。僕はそれを感じる事が出来る。」

 

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