11/21/2008

角田光代。

さがしもの (新潮文庫 (か-38-4))


私の友人であればきっとこの本の深さと素敵さを理解してくれるだろう。
・・・と偉そうなことを言ってしまったが、本当に素敵な本なのである。

私を旅に駆り立てたのは「沢木耕太郎」であるが、
その気持ちを持続しているのは、彼女の存在が大きいように思う。

この本はいくつかの短編で成り立っている。
旅をベースにしているものもあるが、テーマは「本」である。

彼女のあとがきより。
「私は面白いと思えない本を読んでも「つまらない」と
決めつけないようになった。これはやっぱり人と同じだ。
百人いれば、百人の個性があり、百通りの顔がある。
つまらない人なんていない。残念ながら相性の合わない人も
いるし、外見の好みもあるが、 それは相手が解決する問題
ではなく、こちら側の抱えるべき問題である。つまらない本
は中身があつまらないのではなくて、相性が悪いか、
こちらの狭小な好みに外れるか、 どちらかなだけだ。
そうした時間がたってみれば、合わないと思っていた相手と
ひょん なことからものすごく近しくなる場合もあるし、
こちらの好みががらりと変わることも ある。つまらない、
と片付けてしまうのは、書かれすでに存在している本に対して、
失礼である。」


そう思う。愛すべき作家でありロシア通訳者であった米原万理さんが言っていた。「通訳者になってよかったことは、同時通訳するためにはいろいろな分野に精通して いないといけないので、プライベートであれば絶対に読まないような本を沢山読むこと。 意外な発見もあるし、視野も広がる。」 確かそんなことを言っていたように思う。


私もなるべく、偏った読み方はしないように心がけている。
父の書斎や、母や弟たちの本棚の本からpick upしたり、
図書館でも必ず全て回るようにしている。
普段、自分では絶対お金をだして買わないような本から、
得られることって、意外にも多いのである。


短編の中のひとつにこんな言葉がある。
「かなしいことをひとつ経験すれば意味は変わるし、新しい恋をすればまた意味が変わるし、未来への不安を抱けばまた意味は変わっていく。みなみのように、文字を目で追いながら涙ぐむこともある。声をだして笑うこともある。一年前にはわからなかったことが理解できると、私ははたと思い知る。自分が今もゆっくり成長を続けていると、知ることができるのだ。」

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